自然妊娠に向けて


23自然妊娠
健全な精子と卵子であってもすべてが受精するわけではありません。自然受精の確率は40%以下となっており、想像以上に低いのです。レディースクリニックなどでタイミング法や人工授精を試みても、なかなか結果につながらないことも多いです。このような状況になると『相性が悪いんですかね~』などと非科学的なことをいう産科医もいます。自然妊娠に向けて自分でできることがあります。

基礎体温表

24不妊治療をする場合に基礎体温表の作成は必須です。基礎体温表により基礎体温グラフで記録をつけることにより、排卵日、高温期、低温期、生理の時期、ホルモンバランス、妊娠の兆候など自分自身で身体の状態を知ることは大切です。基礎体温の測定は、起床前の決まった時間に舌下にくわえてじっと安静にして測定します。最近はスマホと連動したアプリものもありグラフも自動に作成してくれます。
 基礎体温を測定して低温期から急激に高温期に入る「LHサージ」があります。LH(黄体形成ホルモン)は脳の一部である下垂体ホルモンです。これが分泌されるのを境目に排卵期が来ます。LHサージにより排卵直前の大きさのグラーフ卵胞の卵母細胞の成熟分裂を再開させ排卵を起こします。LHサージのピークは10~12時間で24~36時間続き、LHサージ後24~30時間で排卵が起こるとされています。

排卵検査薬
25排卵前にLHサージより排卵直前の大きさのグラーフ卵胞の卵母細胞の成熟分裂を再開させ排卵を起こします。LHサージのピークは10~12時間で24~36時間続き、LHサージ後24~30時間で排卵が起こるとされています。血中のLH量を測定するのが正確ですが、血液中のLHは20分後にその半分が尿に出てきます。排卵検査薬は尿中のLHを調べることで、排卵日を推測する訳です。また排卵検査薬には唾液中のシダ状の結晶が現れるかどうかを確認することで排卵日を予測できる口紅型の顕微鏡もあります。排卵検査薬も排卵予想日の前から自宅で決まった時間に検査します。
オススメは尿検査です。薬局などで排卵検査薬(尿中LH検査薬)を購入して陽性反応(+)が出ると、通常24~36時間以内に排卵するとされています。卵子は排卵後12~24時間、精子は射精後24~28時間の間だけ受精能力があります。つまり、キッチリとタイミングが合わないと受精できません。ですから使用した排卵検査薬を時系列順に日と時間を記入して並べておくと、自身のLHの様子がわかるからです。本当に人によってLHの分泌と排卵時期は微妙に異なります。何回か行うことでベストなタイミング法の時期がわかって来ます。少し面倒臭いかもしれませんが『急がば回れ』。これが自然妊娠を希望する方にとっては早道です。

一般的不妊治療
不妊治療には「一般的不妊治療」と「高度生殖医療」の2つがあります。一般的不妊治療とは、不妊治療の第1段階として行われるタイミング法と第2段階の人工授精(AIH)までをいいます。さらなるスッテップアップとして高度生殖医療(Assisted Reproductive Technology:ART)があります。体外受精(IVF)-胚移植(ET)・顕微授精(ICSI)、凍結胚移植などがあります。

タイミング法
基礎体温の状態、排卵検査薬やクリニックでの卵胞チェックと併せて妊娠率の高い時期を指導されるのがタイミング法です。卵胞が育ってくれば、排卵日を予測し『○日にタイミング取って下さい』と指導されます。卵子は排卵後12~24時間、精子は射精後24~28時間の間だけ受精能力がありますが個体差があります。タイミング法は男性は一定の禁欲期間後の1回で勝負しましょう。排卵周辺で2~3回という人もいらっしゃるかもしれませんが、産婦人科医は『複数回行っても単回でも結果は同じ』だそうです。若い方でもタイミング法は6回(約半年)位がひとつの目安になります。 また、hCG(絨毛性性腺刺激ホルモン・ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があります。hCG注射により熟成された卵胞の排卵を促進します。注射後、約24~36時間後に排卵が起こるので、その期間中に合わせタイミングを取ると妊娠の確率が上がります。

人工授精
人工授精(Artificial Insemination by Husband:AIH)とは、子宮内に直接精子を送り込む方法で、精子が卵子と出会える確率を高め自然妊娠を目指す方法です。一般的にタイミング法で妊娠しなかった場合、次のステップとして位置づけられています。人工授精の妊娠率は5~10%とされています。その妊娠率の低さから5~10回行っても妊娠に至らない場合、次なるステップアップを勧める医師が多いようです。
27人工授精はタイミング法と同様に排卵日を予測します。そして、採精した精液を遠心分離などにより精製し活性の高い精子を選別します。状態の良い精子を選び洗浄・濃縮し予測される排卵日に子宮内に注入します。精子を濃縮し卵管にいる卵子の近くまで届けるので、妊娠の可能性が高まります。子宮内への精子の注入は、ほとんど痛みもなく約1分程度で終わります。母体の膣を「膣鏡」で伸ばして子宮腔部を清拭した上で人工授精専用の針で精子を静かに注入します。注入された精子は卵管へと移動し、受精→着床→妊娠というプロセスは自然妊娠と同じです。自然妊娠に近い方法で妊娠に至る確率は一般的に5%程度とされています。
 注入する精子の選別方法には度勾配で質の良い精子を分離する「パーコール法」や元気の良い精子が精液の上の方に泳いでくる性質を利用して、これを回収する「スイムアップ法」などが行われています。また、アイソレード液により、運動性の高い精子と低い精子を分離させる「アイソレード法」もあります。場合により病院などで採取した精液をマイナス196度で「凍結保存」します。必要な時に精子を使用することが可能です。
 人工授精は精子の運動率や数に問題がある場合に用いられます。正常な男性の場合、精液量は1.5~4.0ml、精子濃度5000万/ml以上です。通常1回あたり7500万~3億程度の精子が「射精」されることになります。人工授精を行うためには4000万程度の精子が必要と言われています。精子濃度が1000万/ml以下の場合や「精子無力症」のような精子の運動率が極端に悪い場合では体外授精が考慮されます。また、性交障害である「インポテンツ・ED」も人工授精の対象です。女性側の「免疫性不妊症」や「子宮頚管粘液」の量や質が良くない場合、タイミング法やホルモン療法により妊娠に至らなかった原因不明の不妊症に対して、人工授精は有効な治療法だとされています。
タイミング法は健康保険適用の診療ですが、人工授精は健康保険適用外となります。但し自治体などによる公的補助が一部で行われているようです。人工授精の費用は病院や治療内容によって多少増減しますが、1回の人工授精にかかる費用は1~2万円程度です。体外授精から比べると、それほど高額医療費ではありません。
 現在、日本では夫以外の非配偶者間人工授精(AID)は倫理的な問題や社会通念などにより公には殆ど行われていません。一方、海外では自宅で採精出来るキットや女性一人で人工授精できるキットが廉価で販売されています。また、「精子バンク」もあり、日本とは状況が異なります。

妊娠時の注意事項
妊娠初期(12週まで)は、とても大事な時期です。お腹の中で胎児の脳や内臓などが形作られる重要な時期です。母体が摂取したモノの影響を最も受けやすいのです。薬・お酒・タバコなどはご承知の通りです。
 食事内容では「ビタミンA」を1日に10000IU以上摂取すると水頭症や口蓋裂(こうがいれつ:上顎に亀裂があり口腔と鼻腔が通じた状態)などの胎児奇形発生の危険度があります。ビタミンA摂取量5000IU未満の妊婦と比較して、3.5倍に高くなると報告されています。
感染症にも注意です。猫の糞尿などから感染する「トキソプラズマ」は胎児に先天的障害を起こす代表的な感染症です。妊娠してない時に感染しても、ほとんど問題はありませんが、妊娠中に初めて感染した場合のみ、胎児に障害を起こすことがあります。 風疹(ふうしん)は、別名「三日はしか」といわれています。風疹ウイルスによって起こり空気感染します。特に妊娠初期の女性が感染すると、生まれた赤ちゃんに白内障・難聴・緑内障・先天性心疾患などの先天性風疹症候群を患う可能性があります。また、水痘(すいとう: 水疱瘡(みずぼうそう))は、水痘帯状疱疹ウィルスの感染によります。妊娠初期に発症した場合は、目の異常・四肢の低形成・大脳萎縮といった先天性奇形の先天性水痘症候群がみられます。さらに2015年5月以降、中南米を中心にジカウイルス感染症が流行しています。その地域では小頭症やギラン・バレー症候群などの患者が増加しており、ジカウイルス感染症との関連が明らかにされています。そして、流産を引き起こす病気で気をつけなくてはいけないのは、梅毒・B型肝炎・単純ヘルペスウイルスなど一部の細菌やウイルスへの感染です。普通に生活している分には感染することはないものばかりです。
またレントゲンなどの「放射線」の照射は、気をつければ避けられるリスクですから注意しておきましょう。

温石
オススメは石を温めて用いる治療法で、古代から世界各地で行われている温石(おんじゃく)です。日本では胸や腹などの暖を取る懐炉(かいろ)の原型と考えられています。石を加熱して、石が発生する遠赤外線を利用します。温める石は花崗岩・玄武岩・滑石・蝋石・蛇紋岩・角閃岩などが用いられます。岩盤浴も原理的にはこれに近いと言えるでしょう。
温石に似たものにアロマオイルなどを塗り温めた石を体表に置いたり、温めた石でマッサージのようなことをする「ホットストーンセラピー」があります。温かい石で身体を温めて血流を良くし筋肉の過緊張をほぐし緊張緩和させます。石の遠赤外線効果で温かさが持続し、筋肉の緊張を抑えることが出来ます。ですから筋肉の柔らかい状態が持続するのです。さらに温かさが人に安心感をもたらします。気分もほぐれるので心の緊張も緩和します。心の緊張が緩和すると筋肉の緊張も軽減します。


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