不妊クリニックでの検査


142血液検査
なかなか赤ちゃんが授からないと『私どこか悪いのかしら?』と思い、ご近所のレディースクリニックや不妊クリニックなどを受診します。まず、初診時には子宮がんやクラジミアなどの検査をします。次は血液検査で女性ホルモンを測定します。血液検査はその後も頻繁に行われます。排卵や着床障害が疑われる場合の「ホルモン負荷試験」はもっと後で行われます。

超音波卵胞検査
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通称、エコー検査です。「経膣プローブ」という直径15mm程の棒状の検査機器を膣内に挿入し卵巣や子宮の様子を観察します。特に排卵日を知るために卵胞の大きさを調べます。直接、卵管内に内視鏡カメラのような物を挿入して確認する訳ではなく、超音波で卵胞の影を診て判断します。卵胞は排卵に向けて毎日1~2mmくらいずつ大きくなり、排卵当日には約23~25mmの大きさに成長します。この卵胞の大きさを調べることで排卵日を予測します。23~25mmの卵胞の大きさはあくまでも平均です。人によっては20mmや30mmで排卵する場合もあります。正確な排卵日を知るためには、何度かエコー検査を行ない自身の卵胞の大きさを確かめておく必要があります。卵胞チェックと併せてタイミング法を行います。
初診時は恥ずかしい気持ちもあるでしょうが、それは患者さんの気持ちだけで、医師は通常業務ですから淡々と業務をこなしているので変に恥ずかしがる必要はありません。

子宮卵管造影検査
男性は精巣に「精祖細胞」という幹細胞があり、精子を日々生み出すことが可能です。精祖細胞は分裂して一時精母細胞→ニ時精母細胞になります。ここで精子は受精に備えて減数分裂して染色体を半減させます。精子細胞はこれ以上は分裂せず変形しながら精子へと成熟していきます。精祖細胞から精子になるまで約74日です。
44精子はおたまじゃくしのような形です。おたまじゃくしの頭の部分はDNAが入った核であり、それに尾が付いたような形です。精子は全長0.06㎜。卵子自体の大きさは0.2㎜ほどです。卵子の大きさに対し精子は小さいので、多くの精子が必要です。受精にまでたどり着くにも激しい競争があります。

1日に精巣で作られる精子の数は約3千万~2億個です。精巣で作られた精子は精巣上体(副睾丸)輸送され、最大10億個程の精子が貯蔵され成熟します。そして、直径約3mm、長さ約400mmの細長い管である精管を通り尿道まで輸送されます。膀胱の後方には前立腺がありますが、その前の部分に精管膨大部という膨らみがあります。精管は射精直前には蠕動運動をして精子を精管膨大部まで効率よく運搬します。そして精管膨大部と精嚢が合流し射精管となります。精嚢には果糖などを含むアルカリ性の淡黄色の粘液が分泌され精嚢液として溜められています。そして、射精管は前立腺の内部を貫き、前立腺の内壁にある精丘と呼ばれる部分に開口して尿道へ通じます。
精子濃度は1ml中の精子数で2000万個以上が正常とされています。自然妊娠可能な精子数は1ml中、約5000万個で運動率50%以上。理想では1ml中8000万個以上で運動率80%が望ましいとされています。精子濃度(1mlの精子数)が2000万個未満の場合は乏精子症、精液中に精子がまったく見当たらない場合は無精子症、直線運動している精子が少ない場合は精子無力症と診断されます。症状に応じて精巣内精子採取法(TESE)、顕微鏡下精巣上体精子採取法(MESA)、経皮的精巣上体精子採取法(PESA)などは直接精巣に針を刺して採精する精子回収法を行います。

腹腔鏡検査・子宮鏡検査
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射精時には精管膨大部から放出された精子と精嚢液の混合物が放出されます。実は粘度のある精液全体の約70%は精嚢液です。精液中の精子は1%しかないという説もあります。多くの精嚢液が精子に運動のエネルギーを与えているのです。精液の独特な臭いは精嚢液の臭いです。
射精1回あたりの精液が含む精子数は個人差や体調の関係もありますが通常1億~4億個とされています。射精された精子は子宮や卵管内で精子に蓄えられているエネルギーにより約24~28時間程度だけ受精能力があります。卵子は排卵後12~24時間が受精可能です。
精子は精巣内で毎日作られ、いつでの射精が出来るように蓄えられていますが、精子は毎日放出すると薄くなります。また溜め過ぎると老化するとされています。一般的には3~5日で放出される精子が運動率も高いとされているので、タイミング法などでの禁欲期間も3~5日となります。排卵周辺で2~3回タイミング法を取る人もいらっしゃるかもしれませんが、産婦人科医がいうには複数回行っても単回でも結果は同じだそうです。

頸管粘液検査
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子宮の入口にあたる「子宮頸管」は無菌状態の子宮を細菌の侵入から守るために普段は乾燥傾向にあり酸性び保たれています。「頸管粘液」は月経周期にともなって量や性状が変化します。排卵数日前になると粘液量が急に増え、それまでベトっとしていたものがサラサラと牽糸性(糸を引くようになる)になります。この変化で膣内に射精された精子が自力で泳いで子宮内に入りやすくなります。そして、排卵後は頸管粘液の牽糸性が急激に低下します。これは排卵後に細菌が子宮内に進入することを防ぎます。
 頸管粘液検査では排卵期に十分に量と質のよい頸管粘液が分泌されているか、排卵数日前に受診して頸管粘液を採取し検査します。この時期の頸管粘液の量は0.3~0.4ml程で牽糸性が10cm以上、乾燥させるとシダの葉のような結晶がしっかりできると正常です。エストロゲンの分泌量が少ないと分泌量の低下や牽糸性の低下がみられます。また、排卵誘発剤の「クロミッド」を長期使用すると、この頸管粘液の性状が低下するというデメリットもあります。

精液検査
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世界保健機関(WHO)が発表した不妊症の原因の統計では、不妊症の原因は41%が女性側、24%が女性男性ともにあり、24%が男性側、11%が原因不明となっています。このことからも、妊症の原因が男性側にある夫婦は約4組に1組で、女性男性両方に不妊症の原因がある夫婦も約4組に1組となり、男性の原因が考えられるものは約2組に1組と約半数にのぼります。そのため、不妊症の検査は夫婦ともに受けることが原則とされています。。
女性側の頸管粘液検査やフーナーテストの検査結果が「不良」ですと、「精液検査」を勧められます。男性は採精して精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検査します。精液は2~7日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、用手法(マスターベーション)で全量を採取します。病院で取るのが望ましいのです。自宅で採取する場合、アイスのカップより2回り程小さい容器に採精し、人肌の温度(20~30℃程度)に保持することが出来れば、2時間以内に検査すればほぼ病院で採取した場合と同様の結果が得られることが多いと言われています。カイロなどで温めるのは不可です。そして採精する時はコンドームの使用も不可です。中には精子を殺してしまう成分が塗られたものもあるためです。

精液を30分間放置して液化させ計算版に少量のせて観察します。精子濃度は精子量と精子濃度で決まります。総精子数は精液量×精子濃度によって得られます。精子濃度は1ml中の精子数で2000万個以上が正常とされています。自然妊娠可能な精子数は1ml中4000~5000万個で運動率50%以上。理想では1ml中8000万個以上で運動率80%が望ましいとされています。
最初の精液検査の結果が悪くても絶望することはありません。精液の状態は採精した時間から検査までの時間が短ければ短い程良いですし、クリニック以外で採精した場合、検査するまでの保存状態も大きく影響します。また採精する時に一定の禁欲期間の有無によっても変わります。そして仕事などのストレスでも大きく検査結果が変動するのです。検査で問題があった場合、必ず再検査を受けましょう。2~3回の検査結果により精子の状態が判断されます。
検査の結果、精子濃度(1mlの精子数)が2000万個に満たない場合は「乏精子症」、精液中に精子がまったく見当たらない場合は「無精子症」、直線運動している精子が少ない場合は「精子無力症」、正常な形態の精子が少ない場合は「奇形精子症」と診断されます。

検査項目 下限基準値
精液量 1.5ml以上
精子濃度 1500万/ml以上
総精子数 3900万/射精以上
前進運動率 32%以上
総運動率 40%以上
正常精子形態率(厳密な検査法で) 4%以上
白血球数 100万/ml未満

(WHOラボマニュアル-ヒト精液検査と手技-5版より)

ホルモン検査
卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)を調べます。検査段階においては、月経周期の早い時期(卵胞期初期)にホルモン値を調べることが望ましいとされているので、場合によっては受診してすぐに検査の場合もあります。
LH検査は尿中のLHの変化を見て排卵日を予測する検査です。自宅で手軽にできる方法です。排卵日を予測することで的確な性交のタイミングを知ることができます。

①性腺刺激ホルモン
卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)を調べます。検査段階においては、月経周期の早い時期(卵胞期初期)にホルモン値を調べることが望ましいとされているので、場合によっては受診してすぐに検査の場合もあります。
LH検査は尿中のLHの変化を見て排卵日を予測する検査です。自宅で手軽にできる方法です。排卵日を予測することで的確な性交のタイミングを知ることができます。

②卵巣性ホルモン
卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)検査します。GnRH検査は性腺刺激ホルモン・放出ホルモン(GnRH)を投与して、卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンを測定し、それぞれのホルモンが正常に分泌されるかを検査します
③乳腺刺激ホルモン
乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)の分泌異常があると、月経の異常や排卵障害が起こります。本来このホルモンは授乳しているときに分泌されますが、何らかの障害で妊娠前の女性に過度に分泌されると月経不順や排卵障害の原因につながります。
④男性ホルモン
男性ホルモンの分泌が異常に高レベルになった場合、排卵障害の他、ニキビや肥満の原因になります。また、場合によっては多毛を伴うこともにあります。

血液検査
なかなか赤ちゃんが授からないと『私どこか悪いのかしら?』と思い、ご近所のレディースクリニックや不妊クリニックなどを受診します。まず、初診時には子宮がんやクラジミアなどの検査をします。次は血液検査で女性ホルモンを測定します。血液検査はその後も頻繁に行われます。排卵や着床障害が疑われる場合の「ホルモン負荷試験」はもっと後で行われます。

抗ミュラー管ホルモン
02不妊クリニックで自費でも人気があるのが抗ミュラー管ホルモン(Anti-Mullerian Hormone:AMH。アンチミューラリアンホルモン検査)という血液検査です。AMHとは卵巣内で発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。血中AMH値が原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を反映すると考えられており、原始卵胞が少なくなってくるとAMHの値が低くなります。このホルモン値が卵胞数を反映します。つまり、この検査により自分が何歳ぐらいまで子どもが産めるか知ることができます。体外受精の採卵数と相関関係があるので非常に注目されています。
血中AMH値の適正値は2.8~5.6ng/ml。AMHの値が高ければ発育卵胞の数が多く、低ければ発育卵胞の数が少ないです。日本での年齢別の平均値(2009-10年SRL調べ)があります。31歳以下では6.21ng/ml。32~33歳では5.42ng/ml。34~35歳では4.75ng/ml。36~37歳では3.82ng/ml。38~39歳では3.18ng/ml。40~41歳では2.44ng/ml。42~43歳では1.67ng/ml。44~45歳では1.31ng/ml。AMHの長所はFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)と比べるとより正確な卵巣年齢を計れることです。例えば、一般的な32歳女性の卵子数は約6万個。AMH値が1.7ng/mlだとすれば半数の約3万個です。つまり37~39歳が妊娠の限界とも考えられています。
AMHは基本的な体外受精において卵胞の発育を見ながら排卵誘発剤を計画的に使用する治療の目安とされます。年齢が高くAMH値が低ければ治療自体が出来る時間は少なく、排卵誘発剤を注射しても十分効かないために排卵誘発剤も薬を服用する穏やかな方法しかできなくなります。また20歳代でもAMH値が1ng/ml以下も同様と考えられています。若くてもAMHが低い場合は早発閉経で、想定よりも若い年齢で卵巣機能が実年齢以上に衰えている状態です
年齢が若くAMH値が基準値よりも高い場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。この場合、排卵が阻害され卵巣内に多数の卵胞がたまり、月経異常や不妊の原因となる卵巣を過剰に刺激しないように、採卵された卵子は一旦凍結して保存し卵巣の状態を整えてから受精卵を母体に戻します。このように年齢とAMH値の相関によって不妊治療の方法も治療に費やせる時間も大きく変わります。

加齢とともに卵子は劣化し続け、20代前半を境に妊娠する可能性も低下していきます。女性一人一人で卵子の減少スピードは異なります。しかし、この検査値が低くても質の良い卵子が排卵できば妊娠は可能です。AMHが低くても実際には妊娠できる人が結構います。AMHが低いからと言って直ぐにあきらめることはありません。AMHが低いのは残っている卵胞が少ないだけです。AMHの高低と卵巣年齢・卵子の質は違うという研究もあります。低いからと言ってがっかりする必要はありません。卵子の数より卵子の質。これが妊娠には大事な要素です。

子宮内膜組織検査
子宮内膜組織検査は排卵予定日から5~6日後に直径3mmほどのキューレットと呼ばれる器具を使って子宮底部2ヶ所から組織を採取。採取した組織は染色標本とし内膜の発達度合やホルモンに対する反応状態などを調べます。子宮内膜増殖症の有無やその進行具合(単純性・複雑性・異形成)が診断できます。また、採取した粘膜組織の状態から実際には排卵後何日目の組織であるかを判定できます。
 高温期に子宮内膜を採取する「内膜日付診」という検査では受精卵を育てるために子宮内膜が分泌するホルモンや栄養分の状態が分かり子宮体ガン検査にもなります。もし、採取した組織が実際には排卵後10日以上経過している状態もしくは排卵直後の状態など、初めに推測した予定日より3日以上ずれがある場合には何らかの異常があると判断されます
 この子宮内膜組織検査は極端に子宮が前屈・後屈していると痛みが生じます。また、医師の経験や技術に左右されます。組織を採取するので検査後1~2日後に出血や鈍痛を感じる場合もあります。感染しやすいので検査後3~4日後まで、性交・激しい運動・水泳・入浴などは控えます。早期に着床障害を発見する重要な検査ですが、実施している医療機関は少ないようです。


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