逆子に関する用語説明


09逆子
本来、お腹の中で頭位(頭を下向き)にしていなければいけない胎児が、逆に上を向いてしまっている状態です。逆を向いているので逆子という訳です。逆子は医療用語では「骨盤位」と言います。先進部(子宮頚管に一番近い胎児の部位)が骨盤方向(お尻から下)であるために骨盤位と呼びます。

原因
逆逆子の原因の約80%は不明です。妊娠30週では15~20%の胎児が逆子です。そして、最終的に逆子で産まれてくるのは5%ほどです。逆子の原因として、子宮筋腫や子宮奇形などの子宮内の体積が少なくなってしまう疾患により、胎児が自由に動けるだけのスペースがなくなり正常な方向へと回転できなくなることが挙げられます。しかし、帝王切開になっても原因がハッキリと分からない場合がほとんどです。

いろいろな骨盤位
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骨盤位のほとんどは臀部が先進する単殿位と複殿位です。単殿位は胎児の臀部だけが先進している場合で一番多いタイプです。子宮の中で「前屈」をしています。胎児の足先は胎児の顔のあたりに位置しています。 内診すると胎児にお尻が触れます。複殿位は胎児のかかとが両方(全複殿位)もしくは一方(不全複殿位)が臀部とともに先進しています。 子宮内で「体操座り」をしています。内診するとお尻とともに胎児の硬い踵が触れます。殿位以外の膝位(子宮の中で正座した状態)や足位(内診で足の指などが触れます)の骨盤位では経膣分娩は非常に危険でほとんどが帝王切開となります。骨盤位は妊娠30週以降に自然に頭位に復位することが多いとされていますが、逆子は正期産の約5%とされています。

自己回転促進法
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妊娠28週以降の妊娠後期に逆子ままでは焦ります。そこで産科医や助産師から『右下にして寝てください』などと指導されます。これはエコー検診により胎児の背中が上になるように寝てくださいという意味です。逆子の胎児の背中がお腹の左側にあれば右を下に、お腹の右側にあれば左を下に横向きに寝ると、重力により胎児が逆子から頭位にもどりやすいというものです。これは「自己回転促進法」というものの一種です。そうすることで胎児が向きを変えてくれるのを期待するという訳です。しかし、この姿勢で逆子が復位するというエビデンス(科学的根拠:EBM)はありません。寝はじめは右下にして寝ても一晩中右下で寝るのは不可能です。寝返りもうてないまま同一姿勢で寝続けるのはストレスフルです。

逆子体操
逆子を戻す選択肢に自己回転促進法として膝胸位というものがあります。いわゆる「逆子体操」です。四つんばいになり胸を床に付けるように下げて、お尻を突き上げたような姿勢でそのままで10~15分キープします。そうすることで骨盤にはまり込んでいた胎児の臀部が骨盤から遊離して動きやすくなるというものです。逆子体操をするためにお腹の張り止め薬であるウテメリンなどを服用して体操するという場合もあります。
欧米では逆子体操は推奨されていません。日本の若手の産科医や大学病院の産科でも推奨していません。この体操による逆子の復位に対するエビデンスがないからです。その効果や作用機序が曖昧なので、欧米でも日本でも指導されなくなりつつあります。

ウテメリン
逆お腹の張り止め薬であるウテメリン(リトドリン塩酸塩)は、子宮の筋肉(平滑筋)にある交感神経のβ受容体を刺激することで子宮収縮を抑えます。ですから、お腹の張りや腹痛、出血など流・早産の心配のあるときに処方されます。
ウテメリンを服用して逆子体操するという場合もあります。この薬を服用してもお腹の張りが強すぎて、逆子体操もできないという方には、とくに「逆子の灸」がオススメです。
また、この薬には副作用があります。動悸・頻脈・ほてり・指や手のふるえ・頭痛・頭重感・めまい・ふらつき・吐き気などの副作用を訴える方が多いです。


外回転術
逆子の整復方法として、産科医がお腹の上から母体の腹壁を押して外から用手的に胎児の向きを変えるのが外回転術です。破水・子宮出血・子宮口が開いている・子宮奇形・前置胎盤・羊水過少症などでは希望しても行えません。
外回転術は分娩台の上でウテメリンを点滴しながら、子宮収縮を抑えつつ、エコーで胎児や胎盤の位置を確認し、心音なども適時チェックしながら行います。ベッドごと頭を下げたり、枕や布団で調整しながら骨盤を高位にしたりしながら外から回転させます。外的に力を加える方法なので子宮収縮を引き起こしたり、胎盤剥れてしまう「常位胎盤早期剥離」を引き起こす可能性があります。ですから成功・不成功にかかわらず終了後も数時間はチェックし続け、異常がないかどうか確認します。しかし、外回転術で頭位に復位した赤ちゃんの分娩では、胎児仮死や分娩進行停止といった異常分娩率が高いことも認められています。
外回転術により胎盤剥離や胎児の心拍数低下などで「緊急帝王切開」になる場合があります。500回に1回程度の割合で緊急帝王切開になると言われています。そのために胎児が早産にならない臨月になってから行う産科医が多いです。しかし、胎児が小さいほど回りやすいので、もっと早い時期に行う産科医もいます。最悪の場合、胎児が死亡してしまう事例もあります。ですからリスクがある外回転術は同意書の提出を求められます。現在では外回転術ができる産科医も減りつつあり、外回転術をやらない産科も多いです。産科医の中では外回転術自体に反対する意見も多いです。
ネットなどで外回転術が「整体術」のひとつのように書かれていたりしますが、経験がものを言う手法でベテラン産科医にしかできない医療行為です。成功率は50%前後とも言われていますが、データがマチマチで当てになりません。何よりもリスクのある方法であることは知っておきましょう。


帝王切開
欧米では逆子であれば、躊躇することなく帝王切開が選択されます。逆子のまま通常の分娩をすると危険です。それは胎児の頭が最も大きな部分だからです。正常分娩では最も大きな頭の部分から出てくるため、その後のお腹やお尻はほとんど抵抗なくスルッと短時間に出てくることができるのです。しかし、逆子の場合は、最も大きな頭が最後になるため引っかかってしまい、簡単に出てくることができません。したがって単殿位や複殿位であっても胎児の頭が骨盤に比べて大きい場合や未熟児の場合には帝王切開になります。いろいろなバースプランがあると思いますが、産まれてくる赤ちゃんの安全が最優先です。

予定帝王切開

逆子では予定日をまで待たずに、妊娠38週前後に予定帝王切開が計画されます。 昔はベテランのお産婆さんがいて、経膣分娩もしていましたが危険性が高いです。赤ちゃんの安全を最優先すると帝王切開が医学的には安全性が高い方法です。しかし、帝王切開は胎児にとっては安全でも母体には大きな負担とリスクを伴います。ですから、できるだけ正常な頭位に戻して自然分娩が望ましいのです。


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