産後エクササイズ


現代の快適な生活では、軟らかいベッドやソファーで、過ごす時間が多い方もいらっしゃることでしょう。運動習慣もないと、腹部や腰部の力が抜けコア(インナーマッスル)の崩れた生活になります。ひと昔前は日本の伝統文化的な生活スタイルが主流でしたから、正座や和式便所が自然にコアトレーニングになっていました。現代人は普段から腰を使うことは稀です。そして産後、骨盤周囲が緩んだ腰が抜けた状態のまま、ダッコや授乳はたまた家事や仕事では堪りません。
骨骨盤には多くの筋肉が付着するので、筋肉も大きく関わります。ですから産後エクササイズも重要になります。産後エクササイズによる骨盤体操は基本的にはインナーマッスルをトレーニングしていきます。身体を支える筋肉を鍛えなおします。出産後、直ぐにTVなどに復帰するタレントさんや女優さんは、専属インストラターをつけてやっていますが、これもインナーマッスルを鍛え短期間でスリムに返り咲いています。
約20年に少子化でこまっていたフランスでは、公費で産後の女性にインストラターをつけてトレーニングさせ、このことで回復が早く、結果として少子化から脱却したひとつの要因にもなっています。
産後のエクササイズは大切です。いつまでも美しくいたいアナタは、これなしでプロポーションの維持はありえません。色々なエクササイズがありますから、ご自身に合ったモノを選んでみてはいかがでしょうか。小さいお子さんにとってキレイなママは自慢です。

1.腸腰筋・腹横筋
産後太り
骨盤腔には骨盤内臓器として、子宮・膀胱・直腸などの生殖器や消化器などの内臓があります。骨盤が左右に広がってしまうと、その上にある胃腸が垂れ下がる原因になります。上半身は痩せているのに下半身はどっしりしてしまいます。また、骨盤が反るとお尻が出てしまいます。その影響で猫背になりやすく、太りやすくなります。さらに骨盤が傾くと、それを支えようと筋肉が緊張状態になります。その結果、筋肉による代謝が低下することで脂肪燃焼が悪く、溜め込みやすい体になってしまいます。
日頃から運動習慣がない女性では、すでに妊娠前から筋力が低下しています。骨盤を支える腸腰筋(ちょうようきん)は大腰筋(だいようきん)・腸骨筋(ちょうこつきん)・小腰筋(しょうようきん)からなるインナーマッスルです。これが衰えてしまうと骨盤を支えることができなくなり歪みが生じます。大腰筋が弱くなると上半身を支えきれなくなり、胸を前に倒して姿勢のバランスをとるようになるため、背骨が湾曲するとともに骨盤が後に倒れてしまいます。また、大腰筋と拮抗関係にある大臀筋(だいでんきん)も弱くなるのでお尻も垂れてきます。さらに、骨盤は後に倒れるだけでなく片側で脚を組む癖などで左右にも歪みます。
骨盤は体重の6割を支える屋台骨であり、器みたいなものです。ご飯茶碗と丼では、必然的にご飯の盛れる量は変わります。骨盤が広がれば、その分だけ多く脂肪も蓄えられる訳です。
白人女性は十代の頃は、細くて可愛らしいですが、出産後は凄いことになっていることが多いです。白人は黄色人種よりも骨盤の締りが弱いので、産後は特に体重増加に拍車がかかります。

腰まわし運動
後1ヵ月経過し床上げになったら少しずつエクササイズを初めましょう。急激な運動ではなく徐々に体を慣らすように進めていきましょう。
腰まわし運動は、骨盤ベルトを巻いて行います。ラジオ体操みたくやっても効きません。腰に手を置き「軸」を意識して回します。解りにくいですか!? 腰だけをまわす感じです。黒人ダンサーのように少しエロティックな感じの腰使いです。または昔、流行ったランバダみたいに腰を回します。ポイントはゆっくりと回す。そうそうベリーダンスのような感じです。恥ずかしい人は誰にも見られないようにこっそりやって下さい。
これができれば骨盤の仙腸関節がクイッと矯正されて締まっていきます。ホルモンの影響なのか肌の質感は確実に変わります。朝または昼に10分。お風呂上りに10分。右回し5分。左回し5分。これを1日2セットです。たったこれだけで産後太りの解消になりますし、産後腰痛の改善にも良い上にセクシーダンスも上手くなります。

腸腰筋コア・トレーニング
腸腰筋とは、骨盤を支える腸腰筋(ちょうようきん)は大腰筋(だいようきん)・腸骨筋(ちょうこつきん)・小腰筋(しょうようきん)からなる体幹を支えるインナーマッスルです。背骨を左右から支える柱として存在しています。体幹に必要な垂直軸を保持するためには必須の筋肉になります。背骨に付着し、脊柱のS字カーブを維持しながら、骨格の体軸を安定させます。
腸腰筋は10センチにわたる長い筋で、腰椎や腰椎から仙椎に移行する部位に付着しています。歩行や走行という運動時に強力な運動効果を発揮します。大腰筋の浅頭は胸椎から腰椎に始まり、大腿骨の小転子という突起に付着しています。大腰筋の深頭は腰椎から始まり、浅頭と同様に大腿骨の小転子に付着しています。作用としては股関節を曲げること、腰椎のカーブを作ること、また、腰椎を左右から保護し、体幹の柱ともなる部分を作る大事な筋肉です。腸骨筋は腸骨の内側上部から始まり、大腿骨の小転子という突起に付着します。この筋は股関節を曲げる働きがあるのですが、この他にも骨盤の前後への傾きに関わっています。歩いたり走ったりする時には、この腸骨筋が大腰筋へのブレーキをかけてくれる作用があります。小腰筋は大腰筋浅頭に沿うように走行し、腸恥隆起と呼ばれる腸骨と恥骨の結合部の丘のようになっている部位に付着します。
腸腰筋の機能は体幹の安定性を与えることです。腸腰筋は高齢になっても必要な筋肉です。歩行や階段昇降などで太腿を引き上げる作用があります。歩行時には一歩を踏み出すために必要な筋肉です。この筋が弱くなっていると何にもないところでも転倒するようになってしまいます。また、体幹部を支える筋ですので、この筋肉が弱まってしまうと体幹も弱くなってしまいます。
また、腸腰筋は骨盤内に付着しています。この筋肉は下腹部の血流にも関連しているといわれていて、腸腰筋の固さが血流を阻害し、便秘・消化不良・むくみ・月経不順・生理痛などさまざまな症状に影響しています。そして、骨盤内の筋が肉弱くなっていて、内臓の位置が変わることが原因で代謝が悪くなり、結果、ぽっこりお腹になってしまうこともあります。これではいくら脂肪を燃やすダイエットをしても変わりません。腸腰筋を鍛え、刺激を入れてあげることで血流を良くし、ダイエットにもなるのです。

ニーレイズ・レッグレイズ
一番簡単なエクササイズは、仰向けに寝た姿勢で膝を伸したまま片足を挙げましょう。この時、挙げない方の脚は膝を軽く曲げた形にしておいた方が、腰への負担が軽減され腰痛をひどくしません。ポイントは挙げた方の脚の大腿を遠くに伸びていくようにイメージしましょう。
レッグレイズより簡単にできるので初心者に向いているのがニーレイズです。床に仰向けになります。両膝を曲げた状態にし、足を床から10センチ程度離します。息を止めないように意識しながら、股関節が90度付近までゆっくりと上げます。足の先が床につかないくらいまでゆっくりと降ろし、再び上げていきます。10回を目安に行ってください。
その他、腸腰筋の作用を最大限に利用したものがレッグレイズです。足を持ち上げるので負荷量は中等度ともいえます。床に仰向けになります。床から両足を10~15センチあたりの位置まで上げて保持します。息を止めないように意識しながら、徐々に足を上げていきます。40度~45度付近で一度止めて、10秒キープします。ゆっくり息を吸いながら下げていきます。10回を目安に行ってください。

 

お尻歩きエクササイズ
腹特に年齢を重ねてから出産された方では仰向けで寝た姿勢では、お尻の真ん中からやや外側が痛いことがあります。腰椎のカーブと骨盤の真ん中にある仙骨が分娩により、一過性に歪んだ状態です。そのままして置くと産後腰痛を増悪させる可能性があります。仰向けの姿勢でのトレーニングが出来ませんので、まず骨盤調整をしましょう。
そして、調整後には自宅でエクササイズです。お尻歩きは簡単です。脚を伸ばしたままの座位で、腕も伸ばしバランスを取りながらお尻で前後に動きます。しばらく続けていると自分でもビックリするくらい、仙骨の位置が変化し痛みが減っていきます。まずは3分くらいでイイです。コツコツ毎日やりましょう。

腹横筋エクササイズ
腹筋は表面から腹直筋→外腹斜筋→内腹斜筋→腹横筋の4つの筋肉が重なり合って形成されています。腹横筋は腹まわりの最も深いインナーマッスルで内臓を包み込んでいます。弱まるとポッコリお腹の原因となり背筋をキープする力も連動して弱まってしまいます。外に見えない部位で普段使っていることを意識しない筋肉ですから自分の予想以上に弱まっている可能性が高いのです。腹横筋は腰・体幹・骨盤の安定をサポートする体の軸となります。内臓を包む込み内側に留めています。
妊娠中はお腹が大きくなりますから、腹筋は伸ばされたままです。腹横筋は骨盤ベルトのようなインナーマッスルですから、産後は体幹部を支える筋力が低下しています。産後に腹横筋エクササイズをしないと、腰のクビレはなくなり、背筋が過緊張したまま産後腰痛にもなりやすいのです。腹横筋エクササイズにはいろいろあるので、簡単なエクササイズから紹介していきます。
①ヒップリフト
ヒップリフトはお尻の大臀筋のエクササイズですが、体を浮かして支える際に背筋を真っ直ぐにキープさせるために腹横筋をかなり使います。体を持ち上げる際に浮かしてキープするのに腹横筋を使います。ヒップリフトで腹横筋に効かせるには、腰を浮かしてキープする時間を長めにとってみてください。
ヒップリフトのやり方は、まず床に仰向けに寝ます。そして、手のひらを地面につけます。両膝を90度に曲げて、足は肩幅に開らいて準備完了です。腰を持ち上げて、体を真っ直ぐにキープします。お尻が落ちたり腰が反ったりしないようにします。
5秒ほどキープしたら、いったんスタートポジションに戻して、すぐにまた骨盤を持ち上げてください。スタートポジションに戻すときは、お尻を床に下ろしきらないところまでにします。これを10回繰り返せばOKです。腹横筋をしっかり鍛えることができます。
②ドローイン
英語では「draw in」と書き、意味はそのままお腹をへこませる意味になります。ドローインは息を最大限まで吐き出し、ゆっくりと最大限まで吸い込む呼吸法のエクササイズです。お腹を凹ませる力が必要ですから腹横筋をフルに使います。立ったままでもできますが、出来れば仰向けで行うことをオススメします。吐き出しと吸い込みを最大限にした際のお腹の動きがよく分かりますし、お腹に集中できる姿勢でもあります。
ドローインのやり方は、まず、床に仰向けに寝てお腹に両手を添えます。そして、背筋を伸ばします。まずは息をゆっくりと吐き出します。そして、お腹を凹ませて最大限まで吐き出します。手でお腹が凹むのを感じてください最大限まで吸い込んだら、ゆっくりと息を吐き出します。最大限まで吐き出すために、お腹を凹めていきます。(腹が凹まないならまだ吸い込めます。肛門を閉めてお尻に力を入れて、ゆっくりと吐き出します。それを30秒キープします。
一見、簡単そうですが、より深く・よりゆっくりやるのには練習が必要です。簡単にすぐ吸い込んで吐き出していては効果が期待できません。
③プランク
体幹エクササイズで有名なのがプランクです。腹横筋を鍛える代表的なメニューです。腕立て伏せの姿勢で、腕は肘をついてキープするだけという、いたってシンプルなメニューです。背中をそらし過ぎず、腰を落としすぎずに、カラダを真っ直ぐにキープします。キープする時間を長くできるようにします。簡単なようで簡単にいかない奥の深いエクササイズです。
プランクのやり方は、まず、床にうつ伏せに寝ます。両腕を曲げて、両肘で体を支えるように上半身を持ち上げます。両つま先を立てて、お尻を肩の高さまで上げます。腰を持ち上げて、肩とお尻を同じ高さにして体を一直線にします。体を真っ直ぐにキープします。背中が反りすぎないよう、丸まりすぎないようチェックします。
この姿勢で10~30秒間キープします。腹横筋が低下していると10秒もすると、震えてきます。筋力低下の証拠です。まずは10秒×3セット、理想的なのが30秒×3セットになります。できるだけ長くすることがポイントです。

 

2.骨盤底筋群

骨盤底筋群
25骨盤底筋群は体を支えるインナーマッスルのひとつです。骨盤の底にあり、子宮・膀胱・直腸などの骨盤内の内臓を下から支えているハンモック状の筋肉です。骨盤底筋部には尿道・膣・肛門があり分娩の際は弛緩します。そして出産により下がった内臓は尿道を圧迫し、尿もれなどを起こすことがあります。
骨盤底筋群はデスクワークが多いと衰えがちになります。骨盤底筋群は20代から衰え始めます。運動習慣がなく、骨盤底筋が衰えるとタガが外れたように骨盤も歪んでしまい、一気にボディラインも崩れるのです。つまり、スタイル維持にも骨盤底筋のエクササイズは重要です。
骨盤底筋群はお腹(腹筋群)、脊柱起立筋、太腿の内側(内転筋群)の筋肉の出発点です。骨盤底筋群が引き締まっていれば、下腹部のポッコリお腹にもなりませんし、背筋も美しく、自然に胸も張れてバストアップにも影響します。

尿漏れ
女性の骨盤の底には、子どもを生むために産道という大きな穴が空いています。この穴をふさぐようにして骨盤底筋群という筋肉がハンモック状に張られていて、骨盤内臓器(膀胱・子宮・直腸)が落ちないように支えています。また、この骨盤底筋群が収縮することによって、尿道や膣そして直腸が締まり尿や便が漏れない仕組みになっています。出産・加齢・肥満によって骨盤底筋群が傷ついたり、緩む(骨盤底障害)と尿や便が漏れる排尿・排便障害となります。
日本排尿機能学会の調査で尿の悩みを抱える女性の数を推計しています。夜間に1回以上起きて尿をする夜間頻尿は2347万人、1日8回以上尿をする頻尿は1722万人、咳やくしゃみなどで尿が漏れる人は461万人、残尿感がある人は375万人などの結果が報告されています。40歳以上の女性では2人に1人が頻尿に、7人に1人が尿漏れに悩んでいます。
妊娠中や産後腰痛や尿もれなどのトラブルを抱える方は多いものです。しかし、腰痛や尿もれは仕方がないと諦めている女性も実に多いのです。腹筋・背筋・骨盤底筋などの筋力が弱いと大きくなった子宮を支えきれず腰痛や尿もれなどさまざまな不調につながります。大きくなった子宮を骨盤底が支えきれなくなると、場合によっては切迫早産につながる恐れもあります。

骨盤臓器脱
26骨盤内臓器(膀胱、子宮、直腸)が落ちないように骨盤底筋群が支えています。支えを失った骨盤内臓器が産道、つまり膣をめがけて落ちてくることがあります。これが子宮脱・子宮下垂・直腸脱・膀胱脱・尿道脱などの骨盤臓器脱(性器脱)です。更年期以降の女性にしばしば認められます。日本ではまだ正確な頻度は報告されていませんが、出産を経験された女性の約半数が、生涯のうちに何らかの形の骨盤臓器脱を生じるとされるほど多い疾患です。
子宮脱などの骨盤臓器脱の原因として最も有力視されているのは「経膣分娩」です。分娩の際、胎児の頭が産道にいる時間が長いと、骨盤底筋のダメージが強いとされます。つまり赤ちゃんが産道を通過するときに、骨盤底筋が引き伸ばされ障害を受ける訳です。ただし、筋肉は比較的早く回復します。むしろ筋肉の中にある神経が障害され(脱神経)、骨盤底筋の収縮が悪くなると考えられます。
その他、肥満や慢性の咳(喘息など)、重いものを持ち上げたりする仕事、常習便秘など、腹圧が上昇し骨盤底に強い負荷が加わるものは骨盤臓器脱を起こしやすくします。
一般に軽度の骨盤臓器脱では無症状です。ただし個人差があり、軽症の骨盤臓器脱でも強く症状を訴える方がいます。脱が進行すると、その脱出部位に応じた症状が出てきます。どのような骨盤臓器脱でも横になると症状が楽になります。骨盤臓器脱は重力に伴って骨盤内臓器が膣内に落ち込むわけですから、通常寝ているときには症状はでません。
骨盤臓器脱は出産後数年以上経過した患者さんは自然に元に戻ることはありません。手で膣口に何か触れる場合や、骨盤臓器脱の症状があれば、専門医を受診することをオススメします。

骨盤底筋がゆるんでしまうNG習慣
出産直後は部屋を少し暗くして安静にして過ごしましょう。寝ながらTVやスマホは刺激が強いのでほどほどにしましょう。
最近の女性は運動不足のせいか骨盤周辺の筋力が弱く骨盤が緩みがちです。産後の1~2ヶ月は身体が思うように動かないこともあります。産後は骨盤が広がり軟らかくなっているので骨盤調整しやすい状態です。骨盤に負担をかける足を組んだり、腰を動かしたりして不安定な状態の骨盤を捻じってしまうと骨盤がずれてしまうこともあるので姿勢には気をつけましょう。骨盤の歪みを防ぐためには、そもそも骨盤底筋が緩まないようにすることがとても大切です。骨盤底筋の緩みにつながるNG習慣があります。
①重いものを持つ
産後直ぐには重い物を持ったり、上の子を長時間抱っこしたり、荷物を持って階段を上り下りしたり、立ち上がって作業を続けたりはNGです。炊事洗濯などの家事も控えて下さい。骨盤底筋部には尿道・膣・肛門があります。重いものを持つ時は、尿意や便意を我慢するようなイメージで、骨盤底筋を含めた会陰全体を収縮させてから、動いたり、力を入れるという動作をしてみましょう。こうすると重力がかかり会陰部の負担が少なくなります。
②排便時にいきむ
産後は発汗も多く、母乳が作られるため、便中の水分が不足しがちになります。普段よりもたくさんの水分を摂るようにしましょう。
③産後のガードル着用
産後にガードルやウエストニッパーでは締め付ける幅が広く、骨盤だけでなく全体的に上から締め付けてしまいます。産後の2ヶ月は子宮が大きく、その大きいままの子宮を外から締め付けてしまい、子宮を押し下げてしまうことにつながります。
④長時間の悪い姿勢
長時間立ちっぱなしだったり、椅子やクッションにもたれて座わりのような悪い姿勢でいると、妊娠中の腹筋が左右に広がってしまった状態を悪化させて、子宮や会陰部の靭帯を引き伸ばしてしまいます。子宮脱などの骨盤臓器脱を誘発してしまう原因のひとつでもあるので注意しましょう。また、授乳時についつい赤ちゃんを同じ腕で抱いてしまったり、姿勢が左右どちらかに傾きがちですから、交互に授乳するなどしてバランスを取りましょう。授乳時には前かがみになり過ぎないように気をつける必要があります。ソファに座り、膝にクッションなどを置き、赤ちゃんをのせて高さを調節するなど、楽な姿勢で授乳できるように工夫するイイでしょう。また、お腹を突き出すような姿勢を取ってしまったりすることが多いので要注意です。同じ姿勢を続けず適度に変えることも大切です。普段から骨盤底筋を緩ませないよう意識することが大事です。

骨盤底筋体操
骨盤底筋を含めた会陰全体のことを、フランス語で「ペリネ」といいます。このペリネが衰えると骨盤の歪みにつながります。妊娠中は臓器に加えて胎児の重さもプラスされますので必然的に弱ってしまいます。欧米諸国、とくにフランスでは、産後の骨盤底筋のケアに保険が100%適用されています。
緩んだ骨盤底筋トレーニングには自分でできる骨盤底筋体操がオススメです。骨盤底筋部には尿道・膣・肛門があります。尿漏れや骨盤臓器脱の改善・予防には骨盤底筋体操は必須です。骨盤底筋は20歳代からすでに衰え始めているといわれています。これから出産を経験する人にとっても骨盤底筋体操は効果的です。1日3分で良いので、骨盤底筋の運動を継続して行ってみましょう。
①肛門の動かし方
1.両足の膝を開いて、足の裏を合わせた姿勢にします。
2.自分の尾骨に尻尾があると想像して、その尻尾を前の方に巻き込むイメージで肛門を締めます。
3.この時、息を細く長く吐きながら締めていきます。
4.息を吐き終わったら、息を吸うことをあまり意識せず、自然な呼吸をしながら、肛門を緩めていきます。締める・緩めるという動作を5回繰り返します。これを1回につき、2~3セット繰り返します。
②尿道・膣の動かし方
1.両足の膝をくっつけるようにし,足は離すようにします。
2.ズボンのチャックを下から上に締め上げるイメージで膣を締めます。尿道が意識しづらい人は膣をイメージして動かしてください。
3.このとき、息を細く長く吐きながら締めていきます。
4.息を吐き終わったら、息を吸うことをあまり意識せず、自然な呼吸をしながら、尿道もしくは膣を緩めていきます。同様に締める・緩めるという動作を5回繰り返します。これを1回につき、2~3セット繰り返します。
③座って行う骨盤底筋体操
クッションかバスタオルを用意します。坐骨が真っ直ぐに立つようなイメージで背筋を伸ばして腰をかけ、股の間にクッションか丸めたバスタオルを挟みます。そのまま丹田(おへその下あたり)を意識してゆっくりと腹式呼吸をします。太腿の内側に力を入れ、5秒間息を吸いながら膣を上に締めます。そのまま止めて5秒キープしたら、5秒間息を吐きながら力を抜いてゆるめます。これを繰り返して行いましょう。
④仰向けで行う骨盤底筋体操
膝を立てて仰向けになり、股の間にクッションか丸めたバスタオルを挟みます。あとは、ゆったりとした腹式呼吸で座って行う場合と同じ動作を繰り返します。
⑤椅子で行う骨盤底筋体操
椅子座った状態で、肛門や膣をキュッと閉めるのと緩めるのを繰り返します。閉めたままを10秒キープするのを3回、早く閉めたり緩めたりを10回やりましょう。1日5セットが目標です。

 

 

Copyright 2007-2016 tenyudou acupuncture clinic allright reserved.

  プロフィールページへ レコメンドページへ エッセイページへ リンクページへ プロフィールページへ レコメンドページへ

エッセイページへ リンクページへ ライブ情報へ 問い合わせページへ